ごぼうって、なんで牛なの?

ごぼうは、なぜ、ごぼうなのか。哲学的な話では、ありません。今回は、ごぼうの名前の秘密について探ってみます。

ごぼうを漢字で書くと、「牛蒡」となります。では、どうして「牛」という字が入っているのでしょうか。

「牛蒡」という字は、もともと中国語です。中国に自生している「蒡(ぼう)」という草がありました。その蒡という草が、「ごぼう」に似ていたんですね。ごぼうは、その蒡よりも大きかったため、中国語で大きいものを表す「牛」という字が当てられたそうです。モーモーと鳴く牛とは、関係がなかったのです。牛にとってみれば、まったく牛騒がせな話でしょう。

ちなみに、中国ではごぼうを食べることはなく、薬膳のスープなどに用いるのが一般的だそうです。生薬名は、牛蒡子(ごぼうし)、悪実(あくじつ)と記されています。また、ヨーロッパではハーブとして使用されるそうです。ごぼうはいわゆる薬味として用いられるのがスタンダードで、昔からごぼうを食べものとして暮らしに取り入れていたのは、世界中で日本と韓国くらいだと言われています。

戦争時代に、こんなエピソードが残っています。捕虜の敵兵がお腹を空かせていたので、日本兵がごぼう料理を提供したことがありました。ごぼうを食べる習慣のない敵兵はビックリ!日本が敗戦した後の軍事裁判では、この時のことを「木の根っこを食べさせられた」虐待事件として、元日本兵が戦犯扱いになったというのです。あの日、あの時、ごぼうさえ食べさせられてなかったら…得体のしれない根っこを食べさせられた恨みは、ごぼうだけに根が深かったのでしょうね。

とは言え、グローバル化が進み、日本食のファンも世界に広がっている現代。海外のスーパーでも「GOBO」としてごぼうが売られている地域もあるそうです。異国の地での「GOBO」の活躍と栄光にぜひ期待したいものです。

文化や価値観の違いはいろいろありますが、ごぼうのおいしさと魅力を一人でも多くの人に知ってもらえるといいですね。

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